あらすじ
大公国軍のエピフィラム騎士団長代理、シルビア。帝国からの亡命者という危うい立場にありながら、彼女はその類稀なる知略で、三倍の敵を殲滅する「雪中の奇跡」を成し遂げる。
聖女と謳われる彼女がその白い手で守り抜こうとしたのは、義弟のヘルマンだった。彼女は彼を清らかな「光」の中に閉じ込め、純真な少年のままでいさせようと願う。だが、戦場の泥は、彼女の芳香漂う繭を無情にも引き裂いていく。
隻眼の女傑ヴァルデトルーデが教える「汚い剣術」、そしてヘルマンの暗がりに寄り添う少女グラツィア。 過酷な冬の行軍の中、ヘルマンはシルビアが与える清潔な愛を拒絶し、泥にまみれた「男」へと変貌していく。