あらすじ
カールバル王国では、血の純潔が人の運命を定める。王冠は王太子の未来の婚約者を選ぶため、最も強大な二つの家門を召集した。貴族たちは国境の支配権を巡る策謀と争いに身を焼きながら、城壁の向こうに迫る脅威には目を向けようとしない。
ヴァルモール家とダヴェンフォース家は、それぞれ娘を宮廷へと差し出した。選定が姉ではなく妹に下されたとき、フレドリアン公爵はあからさまな憤りをもって異を唱える。その介入は定められていた流れを覆し、公爵夫人の娘エリョランが新たな選ばれし者となった。
予期せぬ婚姻の取り決めは、やがて露見しかねない罪から彼女を遠ざけた。娘がフレドリアンに向けるまなざしは、築き上げてきたすべてを危うくする。許されぬ絆を、彼女は許容できなかった。
単なる権力争いに見えるそれは、実のところ周到に編まれた策である。カリサはこの対立を仮面として利用し、公爵の黙認のもと、王都への支配を固めていく。
だが貴族の野心は、政治的な確執以上に危ういものを芽生えさせた。古き異形の存在が機をうかがい、影の奥に潜む一つの存在が介入の瞬間を静かに待ち続けている。
迫り来る混沌のただ中で、ヴァルモール家の血に連なる古き存在と結びついた一つの家伝の遺物だけが、新たな始まりの可能性を示していた。