あらすじ
花街で香を売り、香を鑑(み)て生きてきた少女・玲珑(れいろん)は、ある夜、上客の死をきっかけに「後宮へ行け」と脅される。
香の知識は毒にも薬にもなる。後宮では、妃たちの化粧香、薬香、薫物(たきもの)が日々焚かれ、病も死も“香りのせい”にされて葬られていく。
下女として放り込まれた玲珑は、鼻ひとつで宮中の嘘を嗅ぎ分ける。
「同じ香でも、焚き方が違えば人は死ぬ」
「香りは記憶を変える。証言も変える」
そして彼女は、冷ややかに笑う宦官・沈(しん)に目をつけられる。
彼は玲珑を道具として使いたい。玲珑は生き残りたい。
――互いに信用しない二人が、真相にだけは近づいていく後宮ミステリ。