あらすじ
「お前の運命は、すでに私の掌(てのひら)の上にある」
若くして政財界に影響力を持つ実業家・サイトウ。彼は、姓名判断で最強の「31画」を持ち、動物の王者のごとく君臨する男だった。冷徹で機械的な彼が唯一、その素肌をさらす相手――それは、かつて自らの家系を没落させた一族の生き残りであり、今は盲目の天才手相鑑定士として生きる青年・リュウグウジだった。
サイトウは定期的にリュウグウジのもとを訪れ、自らの掌を差し出す。触れ合う指先、なぞられる生命線。視覚を奪われたリュウグウジが指先の熱だけで読み取るのは、サイトウの冷酷な仮面の下に隠された、剥き出しの独占欲と、過去の「酸いも甘いも」共有した血塗られた記憶。
「私を殺したいなら、この運命線を断ち切ってみせろ」
名前という呪縛、手相という宿命。二人の男が、互いの「姓名」と「掌」を懸けて堕ちていく、官能的で残酷な愛の終着点。