あらすじ
リラが街を救い、姿を消してからの粘土シティーは、以前よりも静かで安定した街になっていた。
人々の感情に応じて自在に変形していた建物は、大きく歪むことが減り、街は不思議な落ち着きを保っている。
修復屋ノコだけは、その理由を知っていた。
リラは消えたのではなく、街の奥深くで素材となり、崩れすぎないよう街全体を支えているのだ。
そんなある日、広場の凹みの前で立ち止まり、「ここはあったかい」とつぶやく子どもミオが現れる。
ミオは、建物や地面に触れることで、そこに残された想いや記憶を感じ取れる不思議な感覚を持っていた。
大人たちには気づけない街の変化を、ミオだけが言葉にできる。
ミオは次第に、街の下に存在する「やさしい支え」の気配を感じ取るようになり、その存在をリラと呼ぶ。
ノコは、壊れたものを直す自分と、直さなくていいものを守るミオの役目の違いに気づいていく。
リラは姿も声も持たないまま、街を支え続けている。
しかし、ミオのようにその存在を感じ、そっと名前を呼ぶ者が現れたことで、リラは削られることなく“記憶ではない存在”として街に留まることができるようになる。
修復屋ノコと、声を聞く子どもミオ。
ふたりの役目が並び立つことで、粘土シティーは壊れすぎることも、固まりすぎることもなく、歪んだままのやさしさを保っていく。
失われたものは戻らない。
それでも、支えは確かに受け継がれていく――そんな希望を静かに描く続編である。