あらすじ
【あらすじ】
「美しいビルマの空の下、あなたは私の恋人を死刑にした」
昭和初期、帝都・東京。 徳川親藩・松平の血を引き、代々法を司る家系に生まれた男、高雄。 親戚筋にも安藤対馬守の系譜を持つ彼は、厳格な法曹一家の誇りと「正義」を背負い、若きエリートとして判事の道を歩んでいた。
一方、三重・松阪の農村。 そこには、法も正義も届かぬ場所で、ただ「生存」のために土を噛む少女、文江がいた。 九人の家族を養うため、十六歳の彼女が選んだのは、遥か南方の地・ビルマへと一人渡る道だった。
統治する側の「知性」と、生き抜くための「執念」。 帝都の洗練と、地方の困窮。 決して交わるはずのなかった二人の円舞曲(ロンド)は、戦火のビルマという極限の地で、銀河の旋律(銀漢譜)として重なり合う。
これは、歴史の濁流に翻弄されながらも、家柄や境遇という呪縛を脱ぎ捨て、一人の人間として生涯を添い遂げた二人の史実に基づく「真実の記録」である。
家系図の端に記された、名もなき一筋の線を辿る、壮大なノンフィクション家族史。