あらすじ
2030年の日本。人の価値は一つの「スコア」に還元され、監視と競争が優しさを削り取っていくディストピア。
無気力な高校生・東郷勇気は、かつて祈戦士だった母を「優しさのせいで死んだ人」と憎み、自分が何者にもなれない未来をとうに諦めていた。
灰色に均された日常を、ただやり過ごすだけの毎日。
そんな教室に現れたのが、転校生の少女・関野美桜。
どこか場違いな気配をまとった彼女は、やがて「祈戦士ではないか」と噂される存在となり、止まっていた勇気の日常は、静かにきしみ始める。
ある日、住宅街に、都市災害級の怪物〈ダークメンシェ〉が現れる。道路が割れ、車が横転し、ビルの窓ガラスが一斉に砕け散る。逃げ場のないパニックの中、勇気の胸に“黒い欠片”が突き刺さる。
その破片によって、勇気は本来なら選ばれた祈戦士にしか許されない、強力な精霊の力を手に入れてしまう。
祈戦士――それは、精霊と契約し、異能力で怪物〈ダークメンシェ〉と戦い、人の心の闇を救済する、光の当たらない影の存在。
気がついたとき、勇気は見知らぬ施設のベッドの上にいた。そこは、かつて母も所属していた祈戦士たちの拠点だった。
その力によって、勇気は望まぬまま強力な精霊と結びつけられ、母と同じ「祈戦士」として前線に立つことを強いられる。
祈戦士は、“精霊”の力で怪物と戦う代わりに、その傷や負荷を自分の心と体で引き受ける。
限界を超えれば、自分の精霊すら黒く染まり「堕ち」てしまう――という、救いのもたらされない現実。
彼らの任務は、怪物を倒して終わりではない。
怪物の外殻を砕いたあと、さらに“心の内側”へ潜り、歪んだ痛みそのものと向き合い、救済しなければならない。
勇気もまた任務に駆り出され、怪物と対峙していくことになる。
優しさは弱さか、それとも強さか。
誰か一人に代償を押しつけるこの世界を、勇気はこのまま肯定していいのか。母を憎んできた少年は、世界の仕組みと自分自身の心を、否応なく問い直されていく。
救いようのない世界の中で、勇気が最後に下す選択とは?
これは、「心に問いを投げる感動」と「怪物と戦う終末バトル」を重ねた、人の心を描くアニメーション小説。
※終末感・感動・謎・バトルが好きな方、そしてエヴァのあの湿度が好きな人へ。