あらすじ
切り立った崖の上に聳え立つ、ゴシック様式の巨大な学び舎『ルナール天文修道院』 。
そこは、肉体を宇宙の受容器へと作り変える奇病『星宿病(アストラル・ボックス)』に侵された生徒たちが集う聖域だった 。
検眼医ヴィクター・ルゼは、水銀を塗布した特殊な眼鏡を携え、この地を訪れる 。
「星を視るな、内を見ろ」 その教訓が支配する閉鎖的な世界で、ヴィクターが目にしたのは、瞳に銀河を宿した女性セレステ 、銀の砂を吐き出す患者たち 、そして夜な夜な繰り返される「星を飲む儀式」だった 。
なぜ、彼らは自ら病を伝染させようとするのか? なぜ、解剖室の教授たちは、生徒の腹の中に「小宇宙」を描き写すのか?
レンズ越しに歪む世界の中で、ヴィクターの理性は静かに削り取られていく。 やがて眼鏡が外れたとき、彼が目にする「真実の空」とは――。
「星は、存在しているのではない。我々を『視ている』のだ」
美しくも悍ましい変異の果てに待つ、宇宙的恐怖の幕が上がる。