あらすじ

2060年、核戦争から六年が経過した日本。元救助隊員の灰島遊真は、東京北部の廃墟で自罰的な日々を送っていた。 五年前、崩壊したマンションで母と幼い娘のどちらか一方しか救えない極限の状況に立たされ、娘を選んだ。母は目の前で命を落とし、その判断が遊真を蝕み続けている。 ある夜、闇市で再会したのは、あの時助けた少女・辻花凛、十五歳。凛は五年間、命の恩人を探し続けていた。凛を拒もうとする遊真に、凛は母が遺した「花園」と呼ばれる場所を探す旅への同行を持ちかける。 商人の渡瀬仄、被曝の痕を持つ孤独な少年・灰原澄、記録を守る青年・堂本言を道連れに加え、一行は甲州街道を西へ歩む。旅の中で明かされる凛の母の秘密――。 母の手紙、花園の発見、二人はようやく互いの「負い目」と「恩」が同じ出来事の表と裏であったことを理解する。灰の降る街で小さな畑を作るため東京へ戻る二人の姿が、廃墟の上に芽吹く希望を静かに示している。

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カクヨム
カクヨム2026/02/10
  • 現在の作品灰よ、二対の花を