あらすじ
──ぶーん。
「……おや? ありゃミツバチかい?
空を飛びたきゃ飛行機に乗ればいいのに。ありゃあ、相当、いまさらな物好きだね。」
「……ん? 何かおかしい。いや、距離が縮まって……。近づいてきてる?
おい、おい、まさかあいつ、こっちに向かって突撃してきちゃいないよな。」
──ぶーん。
──ぶーん。
──ぶーん。
「おい、おまえ、待て待て待て!
前方を見ろっ! 馬鹿っ! やめろおおおお!」
慌てて叫ぶスズメバチ。
──その鼻先をかすめる瀬戸際で、
カタストロフィ号は旋回して離れていった。
「え?」
スズメバチは、呆然とする。
なぜなら、囁くようなミツバチの声が聞こえた気がしたからだ。
──『よかったら、一緒に飛ぼうよ。』
「……何言ってんだよ……いまさらだ……、この飛行機が発達した時代に……自分の羽でなんて……何の意味も……。」
スズメバチを置いて、
ミツバチは飛んでいく。
壊れかけの機体を修理しながら。
スズメバチは、それをただ見つめる。
──ぶーん。
終わりも始まりも内包したような、
小さな、小さな羽音だけが、ただ、響いていた。