あらすじ
ファンデッカー。
それは強さや勝敗よりも、趣味や遊び心を重視したデッキを愛用するカードゲーマーの事を指す。
夢女子。
それはアニメ・漫画・ゲームなどの二次元キャラクターに対し、恋愛感情などを抱き、妄想や創作して楽しむ女性の名称だ。
この二つを併せ持った女子カードゲーマーだった、自分は。そう思いだした侯爵令嬢イザベル・アングラ―ドは絶望した。カードゲームも、夢見ていた推しのカードもない世界に。
絶望の淵に立たされながらも、召喚士として優秀だったイザベルはパートナーである召喚獣との契約の儀を執り行うべく、魔法学院の儀式場を訪れる。
そこにいは多種多様な召喚獣がすでに召喚されていた。イザベルは「カードゲームの世界もこんなモンスターで溢れていたんだろうなぁ」と、思い出しては悲しみを抱いていれば、一体の召喚獣が目に留まる。
ジャッカルの耳をピンと立たせ、闇夜のように深い黒の長髪は美しく、切れ長の獣のような瞳は獲物を捕らえんとする力強さがある長身の青年。その端整な顔立ちに――イザベルは心を奪われた。
「旦那様じゃない!?」
そう、目の前にいる肌の露出が少しばかり多い民族調の衣に身を包み、金のロッドを手にしている人型の召喚獣こそ、前世で一目惚れして愛用していたデッキのエースモンスター「ドゥアド」だった。
え、これはどういうことだ。もしかして、自分はカードゲームの世界に転生したのかと動揺しながらも、自分の旦那様として夢見て推しに推していたキャラクターを目の前にして興奮を隠せない。
これは是が非でも彼と契約したい。いや、するとイザベルは立候補する。ドゥアドは最初こそ、見定めるような態度をしていたが、イザベルの早口責めが面白かったのか話を聞く姿勢をとった。
これはいけるのではとイザベルが畳みかけようとして――ドゥアドを馬鹿にする声を聞く。
「魔術タイプの召喚獣は力が弱いから雑魚」
カチンときたイザベルだが、ふと召喚獣たちの能力値がカードゲームの効果テキストのように脳内に入ってくることに気が付いた。そこでドゥアドを確認して気づく、彼の強さに。
ドゥアドに「わたくしの召喚士しての実力を見て、パートナーになってくださいませんか?」と、イザベルは提案して――
これは夢見ていたエースモンスターをパートナーにして、全力で推し活する(妻になる)女子カードゲーマーの異世界転生奮闘記。