あらすじ
村人が「妖怪退治」と称して異形の母を殴った夜、少女・詩(うた)は「鬼退治」をして村を赤に染めた。血塗れの笑顔を見た母は消え、詩は“笑う鬼の子”として追われる。
逃亡の相棒は、名を持てない男。人斬りと噂されながら、その手はかつて制度に使われた――処刑の手だった。
追うのは役人と、罪の匂いを嗅ぎ分ける若い僧・暁。彼は救いではなく、笑いを“供物”として集めに来る。
返り血は水で落ちても、心の出血は落ちない。
可愛いまま不気味に笑う少女と、冷たい沈黙で罪を抱える男。二人の逃亡は、やがて“正義の暴力”そのものを斬る巡礼へ変わっていく。