あらすじ
言葉の力が現実を左右する「言葉の国」に、少年の姿をした“言葉の歌姫”琴(こと)がいた。
言葉に宿る音階の力を操る彼は、「ド」は幸福、「シ」は不幸といったように、人々の感情や運命を変える力を持つ。少女にしか宿らないはずのその力を持つ琴は、王族でありながら兵器のように扱われ、母である女王・再歌(さいか)によって戦場へ駆り出されていた。
しかし戦争は敗北に終わり、敵国「共鳴の国」の王・藍(あい)に捕らえられる。
死を望む琴に対し、藍はあくまで優しく接し、「琴は道具ではない」と彼を丁重に迎え入れる。共鳴の国は王の心に民が共鳴する平和な国であり、琴はそこに癒しと温かさを感じ始める。
琴は兎のような不思議な生き物「キューパ」と出会い、藍との生活にも次第に馴染んでいく。藍がくれる笑いや優しさに、傷ついた琴の心に少しずつ光が差していく。
藍は琴に対して独占的な契約を交わすが、その本心は「傍にいてほしい」という寂しがり屋の気持ちだった。
琴もまた、優しさに触れて揺れ動き、「この国で生きていく」という覚悟を抱きはじめる。
そして琴は、誰も傷つけたくないという想いのもと、「言葉の歌姫」として、戦いのない国に“ド”の歌を響かせていく――。