あらすじ

毎朝、村の外れにある霧深い森に通う少女エマ。 誰も近づかないその場所で、彼女は銀髪の少年と出会う。 少年はいつも笑ってエマを迎え、野いちごを分け合い、森の秘密を教えてくれる。 冷たい霧の中、手を繋ぐ感触。木漏れ日の温かさ。葉を噛んだときの甘い味。 二人は約束を交わす。「また来るよ」。 だが少年は「霧の精」だった。 森を守るために力を分け与える存在。 そしてその力を使い切れば、霧とともに消えてしまう。 ある夜、村を襲う大雨と氾濫。 エマは少年に助けを求める。 少年は静かに頷き、霧を操って川の流れを止めた。 村は救われた。 けれど代償は大きかった。 翌朝、森の奥でエマは一人、少年の形見である木の実の冠を握りしめる。 霧はいつもより濃く、静かだった。 少年の声はもう聞こえない。 それでもエマは、今日も森へ向かう。 約束は、霧の中にまだ生きているから。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/02/09
  • 現在の作品霧の森の約束