あらすじ
2048年の東京。48歳の会社員・桜井健一は、給料が上がらず物価だけが上がり続ける日常に疲弊していた。妻は5年前に医療費が払えず病死。会社はリストラと給料カットを繰り返し、最愛の娘が「お弁当いらない」と遠慮した。隣人は夜逃げし、義母は治療を諦め、誰もが静かに沈んでいく。気づけば日本は世界20位の経済規模に転落していたが、ニュースにすらならない。緩やかに、しかし確実に国が死んでいく中、人々は諦めと無力感の中で生きていた。ある日、駅前で若者が一人で演説しているのを見た健一は、小銭を置いて「頑張れ」と声をかける。家に帰り、娘に「お前が大人になる頃には、もうちょっとマシになってるかもな」と呟く。変わらないかもしれない。でも、変わらないと決めつけるのも違う気がする——満員電車の中、健一はまた今日も、降りる。