あらすじ
王国最強の騎士「黒獅子」を父に持つゼファルトは、幼少期から凄絶な訓練を課せられていた。鞭に打たれ、泥と血にまみれる日々。父が望む「無双の騎士」となるべく育てられた彼女は、ある日、己が「女」であることを知る。
父によって仕組まれた「完璧な息子」という欺瞞。 膨らみ始めた胸を晒しで潰し、喉を潰して低く声を出す。素顔を隠す「面」は、いつしか彼女の孤独と呪いの象徴となった。
性別を偽り、騎士の最高位「王国騎士」へと登り詰めるゼファルト。しかし、兵舎での凄惨な襲撃、そして愛する皇女フレデリアへの届かぬ想いが、彼女の鋼の心を切り裂いていく。
嘘を重ねてまで、愛する人の側にいたいと願った騎士の、あまりに哀しく気高き贖罪の記録。 銀の鎧の下で、真実の鼓動が今、白銀の戦記として鳴り響く。
ゼファルト:ランスロット侯爵家の嫡男(として育てられた娘)。女性の身体を隠し、騎士としての頂点を目指す。
イシャルト:ゼファルトの父。「黒獅子」と恐れられる最強の騎士。娘を男として完璧に鍛え上げた冷徹な支配者。
ルベール:ゼファルトの窮地を救った忠義の騎士。揺るぎない尊敬を寄せる。
フレデリア:ゼファルトが幼い頃から恋い慕う皇女。彼女の愛が、ゼファルトを新たな嘘と救いへと導く。
レナード:かつての若き英雄、現在は騎士団長。ゼファルトの才能と危うさを見抜いている。