あらすじ
【角川ルビー小説大賞応募作】
*このあらすじはネタバレを含みます
スプリングタウンで暮らす剣士のヒロとヒーラーのユキヒコ。ふたりは力を合わせつつ、剣や魔法の修行をしながら穏やかに暮らしていた。
ある日、近くの渓谷フォールヴァレーから、ふたりがスプリングタウンに逃げ込んできた。斧使いのジョージとソーサラーのカエデ。彼らの故郷は「機会兵」に侵略されたと言う。機械兵という謎多きモンスターの話を、ふたりから聞き出していた。やつらはフォールヴァレーを陥落させたらしい。
と、話を聞いている間、ユキヒコが倒れた。小さな一匹の機会兵が来ていたらしい。やつはユキヒコに毒を盛った。これを受け、ヒロは旅に出ることに決める。やつらのことを殲滅し、生活を平和にするために。ユキヒコは止めたが、ヒロは聞かない。毒の抜けたユキヒコはついていくことにし、また案内としてジョージとカエデのふたりをつれて、四人は出発することになる。
機械兵の仕組みは複雑だが、サーバーの破壊によって全てが停止するとされている。フォールヴァレーに向かい、四人は協力してサーバーを破壊することに成功した。
しかしユキヒコは機械兵の攻撃か、どこかに囚われてしまう。暗闇の中、うそつきと言いながら白いお面が追いかけてくる。それはどこかで会ったことがあり、しかも両親に酷似していた。
意識を取り戻すと、サーバーは破壊したはずなのに動き回っている機械兵を見た。どうやらサーバーは関係ないらしい。それなら、ユキヒコは確信する。あれは魔法で動いているのだろう、つまりこのふたりが黒幕なのだ。細かな作業の得意なジョージが機械兵を造り、それをカエデが動かしている。ユキヒコはふたりを糾弾した。
が、機械兵が追いかけてくる。四人は夏海浜へと逃げる。改めてふたりを問い詰めるユキヒコと、認めないジョージとカエデ、口を閉ざしたヒロ。
ユキヒコはひとりになり、思い出す。この世界は自分の思い通りになるということを。海の家の複製を創り、ヒロとまじわる。
ユキヒコはすべてを話すことにした。この世界――このゲームはユキヒコが創り出したものだと白状する。関心を持ってくれない父親、愛してくれない母親、いじめてくる同級生に理解してくれない周りの人間。それらから逃げるために、このヴァーチャル世界を創り出したのだった。
ひとりと三人は対峙し、戦闘がはじまる。が、ゲームのマスターであるユキヒコはすべてを変更できる。ジョージの攻撃力をゼロに設定し、カエデの魔法を受け止める。チート的なラスボスを前に、ジョージとカエデは絶望する。そんな中、ヒロは静かに歩み出る。
愛している。ヒロの告白が、ユキヒコの心を解かした。
ヒロは目覚めなくなった――ゲーム世界から帰ってこなくなったユキヒコを心配し、ジョージとカエデを連れて、ユキヒコを救いにやって来たのだった。ヒロ以外誰も信じられなかったユキヒコも、うそをつかなくてもいい世界があると知った。
四人はゲームからログアウトし、現実世界へ帰って来る。まだユキヒコにとってそこは平和とはいいがたいが、うそをつかずともこちらを向いてくれる友人ができた。
それに隣にはいつでもナツメがいる。