あらすじ
「売国奴め、よくも三年間も私を欺いてくれたな!」——華やかな夜会の最中、リーゼロッテは王太子から婚約破棄と売国の罪を突きつけられた。身に覚えのない罪状。けれど彼女の心は、驚くほど穏やかだった。届くはずのない手紙を書き続けた日々が、ようやく終わる——そう思っていたから。十年前、幼いリーゼロッテは隣国から来た少年と出会い、文通の約束を交わした。毎週、毎月、毎年。想いを込めて書き続けた手紙は、一度も届くことなく『宛先不明』の判を押されて戻ってきた。嫌われたのだと思った。忘れられたのだと思った。それでも書かずにはいられなかった。断罪の場で明かされる、十年分の届かなかった想い。その時、外交使節団の中から進み出たのは、「北の黒狼」と恐れられる隣国の若き宰相——かつての約束の少年だった。「その手紙は、私宛ではありませんか」届かなかった恋が、ようやく届く。冷血と噂される宰相の、誰も知らない溺愛が始まる——。これは、十年越しの想いが紡ぐ、二人の新しい物語。