あらすじ
戦争が終わったあと、
本土に残された妻のもとへ、
戦地からの手紙が届き続ける。
差出人は、すでに戦死したはずの夫だった。
手紙は、過去から届いていた。
そこには、恐怖、迷い、そして
「子どもを守りきる」という約束が、
淡々とした筆致で綴られていた。
妻は、夫の死を受け入れながら、
子どもを育て、生活を立て直していく。
やがて再婚の話が持ち上がり、
彼女は選択を迫られる。
生きることは、裏切りなのか。
幸せになることは、約束を破ることなのか。
夫の最後の手紙が示したのは、
死者が未来を縛らないための、
静かな引き渡しだった。
手紙が届かなくなった朝、
妻はようやく現在に立つ。
守るとは、
過去に留まることではないと知りながら。