あらすじ
転校生の文月しおりは、本を「食べる」少女だった。
ページを破り、咀嚼し、嚥下する。その姿が見えるのは、物語への特別な感受性を持つ主人公だけ。彼女は物語の化身——人間が紡いだ無数の言葉が意思を持った、この世界の美しいバグ。
忘れられた本を一日一冊、合計365冊。すべて食べ尽くした時、彼女は消える。それが定められた運命。
図書室で交わされる会話。詩の味、小説の食感、哲学書の苦み。彼女が教えてくれる、物語の本質。そして次第に芽生える、言葉にできない感情。
だが真実は残酷だった——この出会いは365回繰り返されたループの最終周回。毎回リセットされる主人公の記憶。すべてを覚えている彼女の、途方もない孤独。
「未完成の物語」を書き上げることで、ループは終わるのか。それとも——
物語を食べる少女と、物語を紡ぐ少年。二つの魂が交差する時、世界の輪郭が書き換えられる。
切なさと希望が交錯する、メタフィクショナル・ファンタジー。