あらすじ
地方都市に暮らす高校生・白石ヒロは、自分を「取るに足らない存在」だと思いながら日常を生きていた。
理屈屋で現実主義。誰かのためには動けるのに、自分自身の願いだけは後回しにしてしまう少年。
そんな彼の隣には、幼なじみ・星宮そらがいた。
明るく人懐っこく、少しお姉さんぶる彼女は、ヒロの弱さに気づきながらも、あえて触れずに隣に立ち続ける距離で寄り添っていた。
ある夜、二人は異世界へと同時に転移する。
王国でヒロが授かった能力は《価値創成》。
自分が「価値がある」と思ったものをポイントに換算し、そのポイントを使って、自分基準の等価交換であらゆるものを生成できる能力だった。
一見すると神話級の力。
だがそれは、金や魔力、神の加護といった異世界の価値体系と噛み合わず、
王国からは「便利だが魔族との戦争向きではない、コスパの悪い能力」として期待を失われる。
一方、そらの能力《生命安定》もまた、回復量が低いという理由で“無価値”と断じられる。
しかしその力は、致死傷を負った命を、決して死なせないまま繋ぎとめる異常な性質を持っていた。
期待外れの二人は、危険な戦場へと送り出される。
そこで起きた事件が、ヒロの能力を歪ませる。
ヒロは初めて知った。
命が、換金できてしまうことを。
そして、そらが“誰かの命”ではなく、
換算可能な「価値」として扱えてしまうことを。
親友の遺したものによって、ヒロはほぼ無限に近いポイントを得る。
銃も剣も、財宝も、軍勢すら生み出せる力。
こうして彼は、
「無価値と捨てられた能力で、無限の英雄になった」。
だが、失ったものは戻らない。
無限に生み出せる力を持ちながら、
二度と取り戻せない“有限な価値”に縛られる英雄。
これは、
価値を測る力を手にした少年が、
失われた一つの有限を抱えたまま、
無限の英雄になる物語。