あらすじ

東京・神楽坂寄りの下町。声帯の手術後、長い会話が続かなくなった真帆(28)は、築年数の古い1LDKを「二人の新居」に整えながら、婚約者の敦夫(33)に言ってほしい言葉を胸に隠していた。  ところが二月の夜、玄関を開けて飛び込んできたのは、敦夫の弟・颯汰(24)。スーツケースと派手なキーホルダーをじゃらじゃら鳴らし、「同居許可もらった!」と笑う。真帆は声が出ず、かわりにホワイトボードと小さな家の工夫で気持ちを伝えようとする。玄関の一輪の花、短い「今日の一言」、寝る前の三分だけの片付け――その積み重ねが、颯汰の暮らしの動画づくりにも効いて、家の中は笑いで騒がしくなっていく。  三月、四月。巨大クッションで部屋が埋まり、三脚が公園の通路をふさぎ、区役所前では封筒の中身が重くなる。真帆の指先が触れる祖母の形見・チェリークォーツは、揺れる心のたびに冷たく光り、やがて湘南の砂浜で“指輪”へ向かう傷を負う。  「禁断」と呼ばれる関係の線を、誰が引き、誰が消すのか。言葉にできなかった想いが、最後に“家族”と“恋”の形を選び直していく

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カクヨム
カクヨム2026/02/08
  • 現在の作品チェリークォーツの誓い