あらすじ
「君の代わりなどいくらでもいる。出ていけ!」
婚約者である王太子からそう告げられた瞬間、公爵令嬢アデーレは思った。
「あ、やっと休める」と。
「悪役令嬢」と蔑まれながらも、彼女は10年間、無能な王太子の代わりに領地経営から国務の決裁まで、膨大な実務を一人でこなしていたのだ。
「誰にでもできる仕事だ」と彼は笑ったが、その『誰にでもできる仕事』が、この国の根幹を支えていたことに彼はまだ気づいていない。
アデーレは静かに辞表を提出し、王城を去った。
残されたのは、自信満々の王太子と、実務経験ゼロの愛らしい恋人だけ。
これは、過労死寸前だった令嬢が、10年分の有給休暇を消化して自由を謳歌する物語。
そして、彼女を失った国がどうなってしまうのか――それは、もう彼女の知ったことではない。