あらすじ

「視えてしまう」――その一点において、高校生の早蕨 初春(さわらび はつはる)の日常は呪われていた。 他人との関わりを諦め誰の隣にも居場所を作らず、ただ世界の端に立ち止まる毎日。 だが、その日常は激しい雨から逃げ込んだ寂れた祠で終わりを告げる。 そこで出会ったのは、白髪混じりの髪を無造作に掻き不味そうにタバコを吹かす男――柊(ひいらぎ)だった。 神様を自称するその男は驚くほど無愛想で、そして初春と同じく逃れられない怪異をその瞳に映していた。 夜の口笛、合わせ鏡、背後から名前を呼ぶ声。 現代人が「迷信」と切り捨てた言葉の裏側で、伝承はおぞましい怪異となり牙を剥き出しにする。 視る目と、断つ知識。 春を嫌う少年と冬のような神は、日常を侵食する怪異を民俗学的に紐解きその正体を一つずつ解明していく。 「いいか初春。どんな化け物にも『根拠』がある。それを知らねぇ奴から順に死ぬんだよ」 これは、孤独な少年と不遜な神様が日常の裏側に潜む伝承の根拠を暴く、現代民俗学の断片である。

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カクヨム
カクヨム2026/02/08
  • 現在の作品春は、忌まわしきが視える