あらすじ
相川 恒一、三十二歳。
優しくて、聞き上手で、断らない。
気づけばいつも、隣には女性がいた。
桐島 玲奈、二十九歳。
綺麗で、隙がなくて、近づきがたい。
気づけばいつも、男たちが距離を詰めてきた。
二人とも、同じことで疲れていた。
――好かれること、追われること、選ばれること。
「本気で好きになれる相手と、すぐにでも付き合いたい」
その夜、二人は別々の場所で、同じ願いを胸に歩いていた。
そして不思議なことに、ほぼ同じ時間、ほぼ同じ路地で足を止める。
古びた木の扉。
消えかけた看板。
――不思議堂。
中にいるのが、救いか、遠回りか。
それはまだ、二人とも知らなかった。