あらすじ
旅をしていた勇者は、頭を抱えていた。
「まずい! きーくん、……騎士が原因で完全に修羅場だよぅ」
聖女との再会。
それだけならよかった。
だが、なぜか村人たちに
「ご夫婦で村を救ってくださりありがとうございます!」
と祝福されてしまったのだ。
ぼくっ子勇者は無言で笑い俺に圧をかける。
聖女はいつも通り微笑んでいる。
――この空気、絶対に平和じゃない。
そんな勘違いが起きている旅は、
しかし、取り返しのつかない結末へと転がり落ちていく。
神が秩序を支配する世界で、
聖女は神に選ばれていて、
勇者は人類の守護者として選ばれていて、
そして騎士は――人々に信仰されてしまった。
その結果、村は焼かれ、
命は奪われ、
騎士は「裏切り者」として裁判に立たされる。
神を信じ続ける聖女は、
涙を流しながら、
自らの手で騎士を裁くことを選んだ。
それでも騎士は誓いを捨てない。
「あなたの理想の騎士になると、誓ったからです」
これは、
神と人に選ばれてしまった者たちが、
それでも誠実であろうとした物語。
――誓いを選んだ先に、何を失い、何を得るのか。