あらすじ
高校二年生の俺が覚醒した能力は、ただひとつ。
昼飯を出すこと。
この世界では、たまに人が能力に目覚める。
瞬間的に鉛筆を削れるとか、雨雲の位置がなんとなく分かるとか、生活に便利かどうかも怪しい地味能力ばかりだ。
――なのに、俺だけは違った。
空腹を感じ、能力を発動した瞬間。
空が裂け、光が降り注ぎ、超大音量のフルオーケストラが鳴り響き、数百人規模の聖歌隊が天から降臨。
世界崩壊級のエフェクトと共に、机の上に置かれるのは――普通に美味い昼飯。
しかもこの能力、食のストックは無限。
和洋中なんでも出るし、栄養バランスも完璧。
なお、能力を使っていない時ですら、周囲には意味不明な神々しい光や謎の荘厳演出が常時発生している。
一方、周囲の反応は最悪だった。
「いや…弁当出すだけで校舎揺らすな」
「音量下げて食え」
「世界の終わりみたいな演出で唐揚げ出すな」
本人はただ静かに昼飯を食べたいだけなのに、
能力演出だけが勝手に世界を滅ぼそうとしてくる。
地味能力が当たり前の世界で、
唯一“派手すぎるだけ”の能力を引いてしまった高校生の、
騒音・視線・温度差まみれの日常が、今日も腹の音と共に始まる。