あらすじ
雪で街が白く静まった朝。会社員のミナは「遅れたら迷惑」「休んだら穴があく」と自分を追い立て、いつもの速度で歩こうとして滑りかける。焦りで息を止め、視線は足元から離れない。そんなとき、通勤路のビル前で雪かきをしていた清掃員が声をかける。「無理しないってのは、止まるって意味じゃない。転ばない速さで行くってこと」
歩幅を小さく、白線やマンホールを避け、息を止めない。短い手順に従い、ミナは会社へ「安全優先で向かいます」と連絡する。返ってきた言葉は意外なほど温かい。駅では杖の男性に「ゆっくりで大丈夫」と声をかけられる自分がいることに気づき、合言葉が“自分のため”だけでなく“誰かを守る”ためでもあると知る。