あらすじ
省吾は勤務先の旅行代理店が倒産して、退職金かわりに受け取った往復チケットを利用してパリへ来た。40歳中頃という年齢から再就職を案じながら帰国前夜、パリで最後のビールを飲んでいた。目の前に花屋があったので入る。30歳前後の女店主が花を捨てようとしていたので、その花で省吾は遊び気分で傘立てにさしていった。女店主が驚いて、「日本の生け花」ですか、と聞く。花なぞ興味なかった省吾は「私の花」だと口から出まかせを言う。女店主はぜひ店で花を活けてほしいと言う。花を生けたことのない省吾は驚いたが、日本へ帰っても仕事がないし、甲斐性がないと詰る妻もいるので、話に乗る。パソコンで「生け花」を参考にしながら翌日から始めた省吾の花が、パリで人気になってゆく。ロックのスーパースターが省吾の花に夢中になっているという話が広まって、その花屋は一躍パリでの人気店になる。そのころ、省吾は女主人と関係を持つ。日本の超有名華道流派のパリ支部の部員が面会にくる。日本の華道流派が集まってパリで「華道展」を開くという。省吾は参加を要請されたが断る。省吾は自分が有名になってゆくことと、それに対して自分の生ける花の底の浅さに不安を持ち、花屋を去り、ロックスターの公演に付き合う。公演会場に花を飾る仕事を得たのだ。ちょうどそんな時、妻が日本からやって来る。有名になった省吾を見て、自分もパリに住みたいと言う。省吾は断る。ロックスターとの仕事も自分の仕事ではないと感じ始めた省吾は、毎朝、散歩に出て、生き方を求めようとする。そんな時、以前の花屋の女店主と再会して、また一緒にやろうと決意する。