あらすじ

建興六年、街亭の戦いで大敗を喫し、蜀軍を危機に陥れた参軍・馬謖。軍律により処刑される寸前、彼は突如として不可解な「予言」を発し、その異様さに気づいた諸葛亮孔明によって、奇跡的に死の猶予を与えられる。 死罪は免れたものの、一切の官職を剥奪され「記録書記官」へと左遷された馬謖。屈辱と絶望、そして自らを苛む謎の予知能力の恐怖に苦しみながら、彼は書庫の膨大な記録と向き合う中で、自身の過ちの根源と、国家を支えることの重みを学んでいく。 孔明の死、信頼する費禕の暗殺といった悲劇を乗り越え、やがて蜀漢の大将軍へと登り詰めた馬謖は、かつての失敗の教訓を胸に、慎重かつ大胆な戦略で北伐を再開する。若き猛将・姜維との対立と協調、宿敵・鄧艾との息詰まる知略戦。そして、彼の行動によって歴史が変わり、頼りとしていた予知能力が次第に「ずれ」ていくという新たな試練。 これは、一度は全てを失った男が、過ちから学び、仲間を信じ、そして自らの内に潜む「驕り」という最大の敵と戦いながら、亡き師の夢であった漢室再興を成し遂げようとする、もう一つの三国志の物語。彼の涙は、絶望か、悔恨か、それとも未来への希望か――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/05/12
  • 現在の作品泣いても馬謖は切られない。