あらすじ
音楽が魔法として使われる世界。
「演奏家」と呼ばれる彼らが奏でる旋律には、人を癒し、土地を潤し、ときに人を守る力が宿る。
「演奏魔法」と呼ばれるそれは、この世界で広く知られていた。
森の外れで暮らす、静かな演奏家と、彼を師として慕う少女。
ある晩、師は突然その姿を消した。
その失踪をきっかけに、少女の穏やかな日々は突然終わりを告げる。
ーー制御できない感情は、いつか必ず音を割る。その鋭さを、君は忘れないで。
それは、師が残して最後の教え。
「演奏魔法」の源は奏者の「記憶」や「感情」だと、彼は知っていたのだ。
彼が恐れていたものは音楽そのものが、人を壊す可能性だった。
師がどうして彼女の前から姿を消したのか。
その答えを知る者はいない。
少女は、失われた日常を取り戻すため、ひとり歩き出す。
たとえその先で、大切な記憶や感情を失う未来が待っているとしても。
これは、感情が音になり、音が人を救い、
そして人を傷つける世界で――
壊れた音楽を、もう一度鳴らそうとする物語。