あらすじ
旧『九州』――通称《救州》。
魔物が湧き続けるこの隔離地帯で、冒険者ランキング最下位のルーカスは、酒場の二階から細々と配信を始めていた。
登録者は数人。武器は木の棒。
仲間には逃げられ、借金は三億ゴールド。
どう考えても詰んでいる。
そんなルーカスを拾ったのが、フクオカの酒場『鷹羽』のマスターだった。
寝床を与え、仕事をくれ、文句も言わずに面倒を見る。
ただの親切のはずだった。
ところが、その酒場から始めた何気ない配信が、少しずつおかしな方向へ転がり始める。
「理論上ありえない」
「これ、運営案件では?」
本人はまったく自覚がないまま、コメント欄だけが先に異常に気づき、
切り抜きと噂が独り歩きし、最下位配信者はなぜか最強候補として扱われていく。
優しい酒場。
居心地のいい居場所。
そして、やたら有能すぎるマスター。
最弱だったはずの冒険者は、マスターの善意と配信事故のせいで、
もう普通には生きられなくなってしまった。
これは、最下位配信者が知らないうちに祭り上げられ、
酒場のマスターから離れられなくなるまでの、
勘違い成り上がりコメディである。