あらすじ
戦う勇者たちの光の裏で、静かに、誰かを救う。
王都ルーナ・ノッテの片隅に佇む小さな製菓店『チェーロ・ステッラート(星空)』。
勇者のパレードで街は賑わう一方で、影では多くの命が静かに消えていく。
そんな夜、祈りを捧げるリシアは、大礼拝堂の片隅で膝を抱える一人の少女を見つけた。
泥にまみれ、血の跡を残し、誰の名も呼ばれず、ただ冷たい空気に溶けようとしている少女。
親も居場所もなく、魔物の爪痕を背負った彼女に、リシアは思わず声を掛ける。
その出会いが、小さな製菓店の日常を、少しずつ変えていく。
焼きたての甘いお菓子、そして優しい二人の手が、
失われた温もりを、凍えた心にそっと取り戻していく――。
甘く、優しく、けれどどこか切ない。
星空の下で、今日も誰かのための「お菓子」が焼かれる。