あらすじ
──正直、政略結婚に期待はしていなかった。
そう思いながら嫁いだ先で待っていたのは、無口で表情に乏しい侯爵、シグルド・ランドルフ。
三か月経っても会話はほとんどなく、指一本触れられることもない。冷たい彼に、トキメキも不満もない、淡々とした日々。
それでも、想像よりはずっと充実した結婚生活だった。
けれどある日を境に、彼の印象は少しずつ変わっていく。
冷たいのではなく、不器用なだけ。
探るほどに見えてくる、誠実さと優しさ。
気づけばマリアンヌは、彼に惹かれていた。
それでも、彼の優しさは「夫としての最低限の務め」なのだと、自分に言い聞かせる。
そんなある日、街で、見知らぬ女性と親しげに笑い合うシグルドの姿を目にしてしまう。
あの人には、他に愛する人がいる。
そう悟ったマリアンヌは、それでもいい、と自分に言い聞かせながらも、次第に心をすり減らしていく。
楽しかった思い出が、苦しい記憶に変わっていく前に。
これ以上、想いが深くなる前に。
離れたい。
そしてある日、無意識にこぼれた「離婚」という言葉。
それを聞いたシグルドは、痛いほど悲しそうに顔を歪めて──。
両片想いから甘々両想いハッピーエンドへ向かうすれ違いラブ。