あらすじ

防火センサーの点検を仕事にする私は、日々さまざまな家庭の“生活の内側”に立ち入ってきた。 整った部屋、荒れた部屋、笑い声のある部屋、壊れた痕の残る部屋。 ある日訪れたのは、鳩や猫に餌を与え、近隣住民とトラブルを起こしているという老人Aの家だった。 しかし、そこで出会ったのは“問題人物”ではなく、人生の空白を静かに抱えた一人の人間だった。 数十分の会話。差し出されたお茶と菓子パン。ベランダに集まる鳩。 そして半年後、廊下で耳にしたAの死と、住民たちの冷たい言葉。 他人だからこそ見える顔がある。 距離があるからこそ、こぼれる本音がある。 これは、点検員として多くの部屋を訪ねてきた私が、忘れられずにいる一つの記憶の話。

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カクヨム
カクヨム2026/02/06
  • 現在の作品火災報知機の話