あらすじ
人口の八割を女性が占め、家名の誇りと騎士道を胸に乙女たちが硝煙を舞う世界。
華やかな原色の軍服を纏い、一発撃つごとに数十秒を要するマスケット銃で正々堂々と撃ち合う。それがこの世界の「美しき戦争」だった。
名門レナード公爵家の末っ子、十六歳のウィリアム・ヴァン・レナード中佐は、その白皙の美貌ゆえに家族から溺愛され、温室の宝石として育てられてきた。
だが、彼の中身は「火力と兵站」こそが勝利の絶対条件だと信奉する、冷徹な軍事天才の転生者だった。
「空腹と精神論では、弾丸の雨は防げないよ」
彼は家長であるお母様を説得し、私設部隊を設立。集めたのは名誉ある騎士ではなく、世間から見捨てられた「溢れ者」たち。
彼らが手にするのは、時代の先を行く七連発のスペンサー銃。
彼らが食すのは、腐ることのない肉の缶詰。
嘲笑う正規軍、押し寄せる敵軍。
泥まみれの迷彩服に身を包んだ「泥色の小隊」が引き金を引き、金属的な連射音が響き渡る時、古き良き戦列(ライン)は音を立てて崩壊する。
これは、溺愛された公子の少年に、歴史が、そして数千の女性兵士たちが屈服していく物語。