あらすじ

「なんでもいい」

それが、社長・**上野昇(うえの のぼる)**の口癖だった。

小さい頃、家は貧しかった。
親は朝から晩まで働いていて、
昇は早くから「我慢すること」を覚えた。

欲しいものを聞かれても、
行きたい場所を聞かれても、
昇は決まって、こう答えた。

「なんでもいい」

それが一番、
迷惑をかけない答えだと思っていた。

学生時代も、そうだった。

友達を作ろうとはしなかった。
恋愛もしなかった。

誰かと深く関わるより、
一人でいる方が楽だった。

――いや、正確には
どう関わればいいのか分からなかった。

社会人になってからは、
ひたすら働いた。

結果だけを出し続け、
気がつけば社長になっていた。

部下はいた。
金もあった。
肩書きもあった。

だが――
友達はいなかった。

恋人も、いなかった。

部下に飲みに誘われても、
誰かに紹介話を持ちかけられても、

「……なんでもいいよ」

昇は、そう言って
いつも一歩、引いた。

選ばなければならない時。
自分の気持ちを出さなければならない時。

昇は、決まって逃げた。

このままじゃいけない。
さすがに、それくらいは分かっていた。

そう思いながら、
仕事帰りの夜道を、一人で歩いていた時だった。

ふと、足を止める。

「……こんな店、あったか?」

街灯の影に、
一軒の古ぼけた店が、ひっそりと佇んでいた

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アルファポリス
アルファポリス2026/02/06
  • 現在の作品不思議な爺さんと孤独な社長~【なんでもいい】は【なんでも良くない】