あらすじ
元禄二年の春。時の権力者・柳沢吉保の命を受け、一人の老隠密が旅立った。名は松尾宗房――のちの俳聖・松尾芭蕉である。
表向きは名所旧跡を巡り句を詠む旅。しかしその真の目的は、幕府を脅かす奥州の雄・伊達藩の軍事機密を探ること、そして徳川の世を揺るがす「禁断の血判状」を回収することであった。
冷徹な監視役・河合曾良を連れ、各地に配された女協力者たちの助けを得ながら、芭蕉は日光、松島、平泉、そして北陸へと進む。行く先々で待ち受ける伊達の刺客「黒脛巾組」との死闘。そして瑞巌寺の地下で見つけた、歴史を覆す驚愕の真実。
しかし、平泉の夏草を前にしたとき、芭蕉は隠密としての任務を捨て、一人の俳人として生きる決意を固める。それは幕府への反逆か、それとも真の泰平への祈りか。美食と風流、そして研ぎ澄まされた刃が交差する、全く新しい『奥の細道』が今、ここに完結する。