あらすじ
『コード・モナリザ:夢の欠片』
その日、世界から「夢」という言葉が消えた。
合理化を極めたAI社会は、空想・感情・物語を“非効率”として静かに排除していく。
子どもたちは夢を見ることを忘れ、大人たちはそれを「正しい進化」だと受け入れた。
そんな世界で――
かつて“最下位の泥棒”だった男、唐草文字浪は、図書館の地下で静かに生きていた。
もう盗まない。もう抗わない。
そう決めたはずの彼の前に届いた一通の通知が、止まっていた時間を再び動かし始める。
再訪した「日本泥棒協会」で、文字浪は一人の女性と再会する。
協会の事務員であり、冷静な参謀役でもある 黒川ミアコ。
彼女の首には、20年かけて育てられた一本のマフラーが巻かれていた――
かつて“泥棒”が、幼い彼女にそっと置いていった育成玩具
《気が遠くな〜る™》。
盗みとは、奪うことではない。
盗みとは、忘れられたものを“取り戻す”行為だ。
清掃員に擬態し、言い訳だけで突破する奇妙な任務。
国家的象徴・金の鯱鉾。
そして、世界的名画《叫び》へと連なる“欠片”の連鎖。
感情に反応するAI。
記憶を宿す素材。
育てられた夢だけが共鳴する、正体不明のコード。
これは、派手な英雄譚ではない。
声を上げられなかった人々の「叫び」を盗み、
世界にもう一度“夢の居場所”を取り戻す物語だ。
静かで、滑稽で、そして切実な――
感情と記憶のスティール・ファンタジー。