あらすじ

一年前、私は統合失調症を患った。 幻聴があり、世界が歪んでいた時期は、もう終わった——らしい。 今は寛解している。 月に一度のエビリファイの注射を受けながら、事務の仕事をして、ジムに通っている。 外の音や派手な色が多すぎると少ししんどくなるし、注射の副作用で足がむずむずする夜もあるけれど、生活は回っている。 ADHDのせいか、理由もなく苛立つことがある。 それを私は、運動や、そして完全にはやめられないタバコでやり過ごしてきた。 健康に悪いのは分かっている。 それでも、悪いものだと切り捨てる気にはなれない。 誰もが何かを抱えて生きている、という言葉をよく聞く。 私はそれに同調しないし、否定もしない。 分かり合おうともしない。 これは、何かを克服する物語ではない。 前向きに生き直す話でもない。 ただ、治ったと言われたあとも続いていく日常を、静かに積み重ねていくだけの話だ。 今日を生きて、今日を終わらせる。 それだけで十分だと思えるようになるまでの。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/02/06
  • 現在の作品誰もが何かを抱えて生きているけれど、私はそれに名前をつけない