あらすじ
顔が白く光り欠けだす――それは世界から忘れられる合図だった。
ある日、透のもとを疎遠だった同級生の柳が訪れる。
「知り合いの顔の一部が欠けたように白くなって、最後にはぽっかり見えなくなる」と話す柳。
それだけではない、顔が消えた人は柳以外の人の記憶から消え、世界から忘れ去られてしまうと言うのだ。
透はただの妄想だと彼の話を聞き流し、そのときは気味が悪いと思うだけだった。
だがその直後に、透の顔も欠けて白い光に蝕まれ始める。
友人の記憶から消えた柳という男の存在、部屋の片隅、ベランダ、街角、日常の隙間に佇む、半透明の「顔が消えた」人々。
忘貌人と名づけた人々が周囲に増えるほど、透の顔は眩い光を放ち、次第に見えなくなり……。