あらすじ

祖母の遺品整理のため、ライターの蒼井雪乃(28)は東京郊外の古い洋館を訪れる。そこは祖母が「時間が三つある」と語っていた不可思議な家だった。滞在初日、雪乃は庭の一部だけ雪が積もらない場所に気づき、やがて雪の中に白いワンピースの少女を見つける。少女は13歳の雪乃自身だった。彼女は雪の日にだけ現れ、不安や孤独を語りながら徐々に消えていく。過去の自分と触れ合う中で、雪乃はかつて抱えた恐れや願いと向き合うようになる。  満月の夜、屋上に現れたのは黒いドレスの女性——今度は七年後、35歳の雪乃だった。彼女は未来の出来事をすべて知り、雪乃に「私はあなたの恋人」と告げる。雪乃は彼女との邂逅を重ねるごとに心惹かれ、次第に「月の恋人」が自分自身の未来であると悟る。祖母の日記に導かれ、雪乃は理解する——この洋館は、雪の日に過去が、満月の夜に未来が現れる「時間の交差点」なのだと。  春、雪乃は過去と未来の自分、そして現在の自分の間で「選択」を迫られる。未来の自分は「私を選んで後悔する」と書き残すが、雪乃はなお「それでもあなたを選ぶ」と答える。過去を受け入れ、未来を選び取ることで、三つの時間は一つに溶け合う。満月が欠ける夜、未来の雪乃は消える。しかし温もりと愛は雪乃の中に残り、七年後には自分がその「未来」になることを悟る。  やがて春、雪の積もらなかった木に一輪の白い花が咲く。それは過去・現在・未来をつなぐ象徴であり、雪乃は新たな物語『月下に咲く雪』を書き始める。 ――それは、時間を超えた愛と自己受容の物語だった。

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エブリスタ
エブリスタ2026/02/05
  • 現在の作品月下に咲く雪