あらすじ
魔王の時代に、いちばん強いのは「おいしい」だった。
王都の片隅にある、小さな洋菓子店
『チェーロ・ステッラート(星空)』
勇者のパレードが街を賑わせ、
魔王の影が世界を覆い始めた時代――
それでもこの店では、
シュークリームが焼かれ、タルトが切り分けられ、
いつもと同じ一日が丁寧に繰り返されている。
無口で腕のいい菓子職人アリス。
商売に抜け目のない店主エリナ。
そして、日々の出来事を女神に「報告」する看板娘リシア。
彼女たちは英雄でも救世主でもない。
ただ、自分たちの役目を果たしているだけだ。
だが――
なぜかこの店のお菓子は、冒険者の疲れを癒し、
人の心を少しだけ前向きにする。
焼き菓子の香りとともに描かれる、
「勇者の物語の外側」にある、
静かで確かなファンタジー。
これは、世界が壊れかけている時代に、
それでも“今日”を大切に生きる人々の物語。