あらすじ
京都で始まる、新しい日々。
けれど、それは「やり直し」ではなかった。
長い海外生活を終え、大学進学のために日本へ戻ってきた源本リク。
周囲は「新しいスタート」だと言うが、彼自身は何も期待していない。
かつての経験から、リクは信じなくなっていた。
人と深く関わること。
そして、自分が誰かに愛される可能性を。
他人には気づかれないように、
冗談と距離感で本音を隠し、
静かに生きることを選んできた。
そんな彼が、思いがけず足を踏み入れることになるのが、大学の演劇活動。
人前に立つことも、感情をさらけ出すことも苦手な彼にとって、
それは最も避けたい場所のはずだった。
そこで出会ったのが、小林ヒカリ。
誰もが振り返るほど美しく、完璧に見える彼女は、
しかし、誰にも見せない孤独を抱えていた。
言えなかった言葉。
伝えられなかった気持ち。
舞台の上と、舞台の外。
役と、本当の自分。
すれ違いながら、少しずつ重なっていく心。
癒やされていく傷と、再び突きつけられる恐れ。
これは、
「選ばれなかった」と思い込んでいた少年が、
初めて自分の感情と向き合い、
誰かと未来を信じようとするまでの物語。
言葉にできなかった想いの、その先で
静かに始まる、遅くて優しい恋。