あらすじ
大学生活の三年間、深夜のコンビニで働き続けてきた「俺」。人付き合いが苦手な俺にとって、そこは社会との唯一の接点であり、平穏な居場所だった。
だが、深夜3時、フードを被った謎の男「Cさん」が現れるようになってから、日常は音を立てて崩れ始める。何も買わず、ただ店内の防犯カメラ一つ一つに向かって丁寧にお辞儀を繰り返すCさん。その不気味な姿は、なぜか防犯カメラの映像には一切映っていなかった。
「お前、一人で何やってるんだ?」
店長から突きつけられたのは、無人の店内で狂ったように怯える自分の姿。精神異常を疑われ、三年間守り続けた居場所をあっけなくクビになった俺は、怒りと孤独感から再び店へと向かう。
しかし、そこで目にしたのは、空っぽの駐車場と、無人の店内で防犯カメラに向かって「お辞儀」を繰り返す、変わり果てた店長の姿だった。
Cさんとは何者なのか? なぜ自分だけに見えていたのか? そして、店員という肩書きを失い、「外側」に放り出された俺を待っていた本当の恐怖とは――。
これは、日常のすぐ隣にある「底なしの虚無」に呑み込まれていく、一人の青年の記録。