あらすじ
2030年秋。日本最東端の孤島・南鳥島で進められていたレアアース泥採掘事業は、日本が「資源小国」から脱却する切り札だった。しかし、採掘基地〈MINERVA〉第三プラントが未明に爆破され、死者十二名を出す大惨事が発生する。政府は老朽化による事故と発表するが、国家特務庁(NIA)はこれを国家規模の破壊工作――テロと断定していた。
爆薬の成分、周辺海域の不審な熱源、相次ぐ偽装漁船の目撃情報。背後には中国・ロシア・北朝鮮といった国家の影がちらつくが、外交問題を恐れる政府は動けない。そこでNIAは極秘裏に南鳥島へ潜入し、第二のテロ阻止と黒幕の特定を目指す。
チームの一員である朝倉勇は、半年前まで民間人だった新人工作員だ。地獄の訓練と実戦を経て成長した彼は、ベテラン諜報員・氷室玲香と共に島を偵察し、内部協力者と外国工作員の存在を突き止める。やがて敵の母艦が島近海に潜む中国海軍の潜水艦であり、作戦を指揮する伝説的工作員〈黒蛇〉が関与していることが判明する。
第二プラントを狙った決行の夜、NIAは海上で敵を迎撃。激しい戦闘の末、朝倉は黒蛇と対峙する。殺すか、生かすか。迷いを抱えたまま下した朝倉の選択は、彼自身の覚悟と、日本が進もうとする「影の戦争」の行方を静かに示していた。
国家の未来を賭け、法の届かぬ闇で戦う者たちの物語が、いま始まる。