あらすじ
かつて穏やかだった地方都市は、ある夜の巨大な爆発によって一瞬にして瓦礫と化した。
それから数年。秩序は崩れ、暴力と略奪が日常となった街で、シロは今日も小さなホットドッグの屋台を営んでいる。
寡黙で無愛想、客と必要以上に関わらない男。だが、ソーセージを焼き、マスタードを絞るその手つきだけは、どこか異様なほど丁寧だ。
そんなシロの前に現れたのは、17歳の少女・のの。
行方不明になった父親を探し続け、街の噂を頼りに屋台を訪れた彼女は、
「これを見たことがありますか」と、一つの古びたロケットペンダントを見せる。
同じ頃、街を牛耳る自警団「銀のヘルメット」のボス、通称キングは、
フルフェイスのヘルメットの下で誰とも目を合わせず、ただ静かに街を見下ろしていた。
彼の首元には、決して外さない一つのペンダントが揺れている。
やがて、ののとシロとキングの三者を結ぶ一本の細い糸が、
血と硝煙の匂いが染みついた街の中で、ゆっくりと絡まり始める。
失われた家族。
誰にも明かせない素顔。
そして、決して開けられることのないロケットの中身――。
瓦礫の隙間から漏れる僅かな温もりを求めて、
三人の運命が、今、動き出す。