あらすじ
遠い未来。
どれほど技術が発達していても、説明のつかない噂は消えない。
若者を中心に、ひそやかに囁かれている店がある。
SNSだけに存在し、住所も連絡先も公開されていない天然石専門店。
——玉響の庵(たまゆらのいおり)。
店主・水守航貴は、石を通して人の声を聴く導師だ。
祓うのではなく、裁くのでもない。
迷いの中にある心に、赦しと選択肢を手渡すことを生業としている。
編集者・野々村菜砂は、ある日その噂の店に辿り着く。
半信半疑のまま訪れた先で出会ったのは、
静かで、どこか現実離れした導師。
そして、石の不思議な感触だった。
偶然のような出会い。
けれどその瞬間から、彼女の人生は、確かに別の方向へと歩き始める。
これは、
導く者と、導かれる者が、まだ名のつかない灯を見つけるまでの物語。