あらすじ
魔王が倒され、世界が平和になってから100年。
英雄たちの伝説は美化され、教科書の中で輝いている。
だが、ハイエルフの女性・ヴィヴィアンだけは真実を知る術を持っていた。
彼女の職業は、国立墓地の管理人にして、大陸唯一の**「死者対話官(ネクロ・インスペクター)」**。
彼女は、骨に残された魔力痕や傷跡から、死因を特定し、死者の最期の「声」を聴くことができる。
ある日、ヴィヴィアンのもとに、かつての世界を救った「聖女」の曾孫が訪れる。
「一週間後の建国百年式典のために、勇者様の遺骨を清めてほしい」
しかし、棺を開けたヴィヴィアンが見たものは、魔族による傷ではなく――味方であるはずの聖女固有の治癒魔法による「窒息死」の痕跡だった。
「勇者は魔王と相打ちで死んだ」という歴史最大の嘘。
長寿ゆえに感情が希薄なヴィヴィアンが、骨の声を聞き、100年前の「完全犯罪」を解剖していく。これは、英雄たちの愛憎と殺意の履歴書(クロニクル)。