あらすじ
魔王が倒され、人類が謳歌する平和な時代。英雄たちの偉業は伝説となり、お伽噺として子供たちに語り継がれている。しかし、エルフの「鑑定士」アウレアにとって、それは薄ら寒い改竄の歴史に過ぎなかった。
彼女の職業は『魔法残留痕の解析』。百年、千年前に放たれた魔法の残滓(残り香)を読み取り、当時の状況を映像のように再現できる特殊技能者である。
「死人に口なしと言うけれど、魔法に時効はないのよ」
アウレアのもとに持ち込まれる依頼は、歴史の教科書を覆すようなスキャンダルばかり。
「聖女の自己犠牲」とされた美談が、実は仲間による「口封じの殺人」だったとしたら?
「魔王の呪い」で滅んだ村が、実は王国の汚職隠しで焼かれたとしたら?
すでに犯人はこの世になくとも、残された遺族や、間違った歴史を信じ込まされている現代人のために。
長命のエルフだけが扱える「時間」という猛毒を用いて、アウレアは美しき英雄譚の皮を剥ぎ、残酷な真実を暴き出す。これは、死者たちの無念を晴らす「歴史の検死報告書」である。